新年を迎える際、しめ縄をどのように飾るべきか、方向や向きが気になるところです。特に神棚や玄関などの場所によって異なるのでしょうか。
今回は、しめ縄の向きや方角、左右の配置、その意味合いや異なる場所での取り扱いについて詳しくお話しします。
しめ縄を飾る際、左右どちらが適切?
しめ縄の正確な向きとは?
「ごぼうじめ」と呼ばれるしめ縄では、左右の太さが異なります。通常、右側を太く、左側を細くして飾ります。しめ縄のこの向きは、左綯い(ひだりぬい)と呼ばれ、神棚や玄関など場所に関わらず同じです。
神棚では、左側が太く、右側が細くなります。これは、神様から見て左が上位、右が下位とする伝統に基づいています。地域によってはこの向きが逆になることもあるため、不安な場合は近隣の神社で確認すると良いでしょう。
東日本と出雲式の違い
東日本では、一般に左側が細く右側が太い「左綯い」が標準ですが、出雲大社のような場所ではこれが逆転しています。これは、向かって見た場合に左側が太く、右側が細くなることを意味します。
伊勢や出雲など特定の地域では、右側を細くして飾る習慣があります。しかし、日本全国で統一された規則は存在せず、地域ごとに異なる風習があるのです。
特に伊勢や出雲を除く地域では、多くの場合、右側が太い形でしめ縄を飾ります。ですので、どう飾るべきか迷ったら、右側を太くすると良いでしょう。
出雲大社で左側が太くなっているのは、同神社に祀られている「大国主命(オオクニヌシノミコト)」が悲劇的な終焉を迎えたことに由来し、その怨念を封じ込める意味が込められているとされています。
伊勢地方や出雲地方以外の地域においても、左側を太くする習慣がある地域が存在します。
そのような地域では、地元の主要な神社や近隣の神社のしめ縄の飾り方を参考にして、それに沿った方法で飾ることが推奨されます。
しめ縄の向きを神社で確認
しめ縄の向きに不安がある場合は、地元の神社で確認することをお勧めします。
しめ縄の向きは地域の風習によって異なるため、自分の住む地域の習慣に合わせることが重要です。
特に玄関に飾る場合は、他の家と異なる向きにならないように注意しましょう。
神棚の向きと太陽との関係
神棚にしめ縄を飾る場合、通常は右側を太くしますが、太陽のエネルギーによって向きを変えることもあります。
例えば、東向きの場合は南=左を太くし、西向きの場合は南=右を太くします。地域の風習に従って、近くの神社で確認すると良いでしょう。
神社でのしめ縄の配置:左右の決まりとは?
一般的に多くの神社で見られるのは、しめ縄が左綯い(ひだりぬい)で、右側が太く、左側が細い形です。
ただし、出雲大社や伊勢神宮のように逆の配置をする場所もあり、伊勢地方ではこの逆向きの飾り方が一般的です。
しめ縄を飾る際の方角の指定
しめ縄を設置する際、左右の方向には注意が必要ですが、特に飾る方角に固定のルールは存在しません。そのため、神棚や玄関などの場所に合わせて適切に取り付けるのがベストです。
玄関や車、水場などでのしめ縄の向きや方角の扱い方
玄関に飾る場合のしめ縄の向き
玄関にしめ縄を飾る場合も、神棚と同様に右側が太く、左側が細くなるように設置します。新年には多くの家庭で玄関にしめ飾りを見かけます。
これは年神様を迎える伝統的な意味合いがあり、「この家は神聖な場所である」という象徴です。
玄関での玉飾りの使い方
玄関ではしめ縄の代わりに玉飾りを飾ることもあります。玉飾りは左右の方向を気にする必要がなく、迷うことなく設置できます。
これは藁の基盤に扇子や福袋、エビなどを飾ったもので、家内安全や商売繁盛、健康長寿などの願いを込めて飾ります。
飾る際は装飾のある面を前面にするだけで良いので、手軽です。
車に取り付ける際の注意点
昔に比べて減ったとはいえ、車にしめ縄を取り付ける習慣もあります。
車の場合も、右側が太く左側が細い形で飾りますが、「ごぼうじめ」ではなく、左右非対称でない「玉飾り」や「輪飾り」を使用することも多いです。
これらの場合、左右の向きには気を使わなくても良いです。ただし、車に取り付ける際は、走行中の安全やナンバープレートの視認性に注意が必要です。
水回りや台所に飾る輪飾り
近年では、台所や水回りなどで輪飾りを設置する家庭も増えています。
輪飾りはもともと簡易的なしめ縄で、主に水場や室内のドアに飾られていましたが、コンパクトさから玄関での使用も増えています。
輪飾りも左右の方向を気にする必要がなく、手軽に飾れる点が魅力です。
しめ縄の本来の意味とは?
しめ縄は、本来年神様を迎えるための神聖な依り代とされています。
「依り代」とは神様が宿る対象を意味し、お正月は年神様を歓迎する特別な日です。しめ縄は年神様の到来の目印として飾られるわけです。
漢字では「注連縄」と表記されるしめ縄は、その読み方からは想像がつかない名前ですが、由来には意味があります。
「注連」という言葉は、中国の古い習慣で死者の霊が家に入らないように縄を張る風習から来ています。
この習慣が日本のしめ縄に似ていると考えられ、「注連縄」という表記が使われるようになったとされています。
しめ縄はいつまで飾れば適切?
しめ縄を設置する時期は、大体12月28日頃から1月15日頃までとされていますが、地域によって若干の差があります。例えば、関東地方では1月7日頃に外すことが多いのに対し、関西地方では1月15日頃まで飾るのが一般的です。
一方、三重県の伊勢志摩地方や宮崎県の一部地域では、一年を通してしめ縄を飾る習慣があります。
しめ縄を設置する最適な開始日は12月28日とされています。12月29日は「苦」という意味合いがあるため、また31日は一夜飾りとして避けられることが一般的です。
しめ縄を設置する期間は地域によって変わるため、周辺の家々や地元の神社を参考にすると良いでしょう。
神棚のしめ縄は年間を通して飾るべき?
しめ縄には、年神様を迎えるという目的以外にも、神様を祀る場所と普通の世界とを区分けする役割があります。
そのため、神様を常に祀る家庭の神棚では、一年中しめ縄を飾ることが多いです。
神社でしめ縄が一年中設置されていることを考えると、神棚でも一年中飾るのが自然と言えます。
神棚は普段他人の目に触れない場所なので、地域の風習よりも個人の考えに基づいて飾ることもできます。
しめ縄の種類と特徴
しめ縄には「ごぼうしめ」「玉飾り」「輪飾り」などの様々な種類が存在します。
「ごぼう注連」は神棚に一般的に飾られるタイプで、関西地方では前垂れが付いたしめ縄が玄関でよく使われています。
「玉飾り」は東日本で玄関先に設置されることが多く、見た目が華やかで縁起物が多く飾られています。
「輪飾り」は手軽さと価格の面で近年人気を集めている簡易型のしめ縄です。
どのタイプも神様を迎える意味合いは同じで、飾る場所や他の家との調和を考慮して選ぶと良いでしょう。
しめ縄の適切な処分方法
取り外したしめ縄は、通常は神社で行われる「どんど焼き」で処分されます。どんど焼きは1月15日に行われる行事で、松飾りやしめ縄、書き初めなどを燃やす伝統的な儀式です。
その際に作られたどんどや(焚き火)の周りに飾りを配置し、焚き火を燃やして残った火で団子や餅を焼く習慣があります。
これを食べることで一年間の健康が保たれるとされています。
しかし、現代ではどんど焼きに参加する人が減ってきており、一部の人々はしめ縄を普通の燃えるゴミとして処分しています。
この方法に特別な問題はなく、しめ縄をゴミとして出す際には、他のゴミと区別しやすいよう紙袋に入れるなどの対策を取ると良いでしょう。
まとめ
しめ縄は、伝統的に右側を太くし、左側を細くする形で飾ります。
神棚では太陽のエネルギーを考慮して飾ることもあります。年神様を祀る重要な装飾品であるため、適切な向きで飾ることが望ましいです。
また、飾る期間や種類、処分方法についても地域の風習や個人の判断に応じて適切に行うことが大切です。