お寺でのお願い事に関する誤解を解き明かしましょう。お寺でお願い事を行うことは禁じられているという話がありますが、それは本当なのでしょうか?
この記事では、お寺でのお願い事におけるエチケットや忌み言葉を細かくご説明します。
初めてのお参りや特別な行事での疑問点をクリアにし、安心してお参りできるようになりましょう。
「お寺でのお願い事は本当にタブーなの?」
お寺でのお願い事には何の問題もありません。
仏様に願いをかけることは悪い行為ではないのです。
かつてお寺は学問の場であったため、お願い事をしない方が良いとされていましたが、現在ではそのような考えは一般的ではありません。
ただし、どんな願いでもかなうわけではなく、お願いする際の態度には注意が必要です。
以下に述べる、お寺でのお願い事に対する考え方やマナーを理解した上で、お願いをしましょう。
お寺でのお願い事についての一般的な見解
お寺でのお願い事について、一般的にはどう考えられているのでしょうか?
<お寺にお参りする目的>
お寺へのお参りは、煩悩を断つことや、日々の感謝を仏様に伝えることが主な目的です。
また、葬儀が無事に終わったことを報告するためにお参りすることも一般的です。
しかし、現代ではパワースポットや御朱印集めを目的としてお寺に参る人もいます。
宗教的な意味よりも、趣味やイベントとしての要素が加わっているものの、お参りは仏様への日々の感謝を伝える行為です。
<お寺でのお願い事の意味>
お寺でのお願い事は、願いが叶うよう仏様に見守ってもらうため、または力を借りるために誓いを立てるという意義があります。
そのため、お願い事をする際には、仏様に望みを叶えてもらうというよりも、「自分の力で願いを叶える」という姿勢が重要です。
<宗派やお寺による違い>
お寺でのお願い事は基本的に問題ありませんが、宗派によっては禁止されている場合もあります。
以下に、宗派による違いを説明します。
お願いを控えるべき宗派
・禅宗
・浄土真宗
曹洞宗を含む禅宗や浄土真宗は、お願い事を避けるべきとされています。
禅宗では、「自力本願」という考え方があり、修行を通じて自分自身で願いを叶えることが重視されます。
これは、単に他者に頼ることを否定するという意味合いがあります。
一方で、浄土真宗は「他力本願」という考えを持っていますが、これは一般に考えられる他者の助けを求める(お願い事をする)という意味ではなく、深い宗教的な意味を持ちます。
したがって、浄土真宗もお願い事を行うべきでない宗派に含まれます。
※「他力本願」:先日、ある老人会に招かれて出講した折、次のような質問を受けた。
「私は浄土真宗の門徒だが、よく”他力本願”ということを聞く。禅宗では”自力本願”というそうだが、どう違うのか?」と。
それに対して、まず「他力」を”他からの助力をあてにすること”、又、「自力」を”自分ひとりだけの力”と解釈するのは誤りであることを強調し、次のように説明した。
親鸞上人が「他力とは、如来の本願力なり」といわれている如く、他力とは本来、阿弥陀仏の念仏往生の本願をいう。本願とは、仏、菩薩が、すべての人を救わんとする根本的な願いのことで、この本願を他力という。換言すれば、自分の力であれこれと処置したり、取りはからったりしないことで、自己のはからい捨てて、仏の手にすべてを任せることで、これを「自然(じねん)法爾(ほうに)」という。
引用)臨黄ネットhttp://www.rinnou.net/cont_04/myoshin/2008-04.html
お願いが許される宗派
・天台宗
・真言宗
密教の流れを汲む天台宗や真言宗では、お願い事が許されているとされます。
お寺でお願い事を考えている場合は、訪れるお寺がそのようなお願いを受け入れるかどうかを事前に確認することが重要です。
お寺で避けるべきお願い事
宗派によってお願い事が許されるかどうかは異なりますが、それとは別に、お寺で避けるべきお願い事も存在します。
一般的に、お寺ではお願い事をしても構いませんが、仏様はすべての願いを叶えるわけではありません。
では、どのようなお願い事が禁じられているのでしょうか。
<避けるべきお願い事>
他人を貶める内容や、他者の不幸に関するお願いは、お寺で行うべきではありません。以下のような例が挙げられます。
・特定の人が失敗する
・特定の人に不運が訪れる
このような自己中心的なお願い事をすることは、お寺では避けるべきとされています。
<なぜそれが避けるべきなのか>
仏様は他人を害するような悪質なお願いを叶える存在ではないためです。
また、他者に害を願うと、その結果は自分自身にも影響を及ぼすとされています。他人の不幸を願うことで、結果的に自身にも不幸が訪れるという考え方です。
お寺でお願い事をする際は、自分本位の願いを控えるよう心がけましょう。
お寺へのお参り時のエチケットと留意点
お寺へのお参りでは、正確な参拝方法、心構え、及びエチケットが求められます。
例えば、寺院に入る際の足の運び方や線香の回数など、細かい規則が存在します。
宗派によってこれらの規則が異なることがあるので、気を付ける必要があります。
さらに、お寺と神社では参拝の仕方が異なります。
たとえば、神社では拍手を打つことが一般的ですが、お寺ではそれは適切ではありません。
仏様に対する敬意を示すため、お寺の正しい参拝方法を予め学んでおくことが重要です。
神社の参拝方法は広く知られていますが、お寺のそれはあまり知られていないかもしれません。
お寺での正しい参拝方法について
以下では、お寺での参拝方法について具体的に説明します。
<お寺へ行く時間>
寺院によって開門時間が異なるため、事前に確認することが大切です。
神社では午前中の参拝が推奨されることが多いですが、お寺には特定の時間に行ってはいけないという決まりは通常ありません。
<お寺に入る際>
お寺に入る際には、山門の前で合掌し、一礼するのが作法です。
山門をくぐる際には敷居を踏まず、女性は右足から、男性は左足から入るのが一般的な作法です。
<お寺へ行く際の服装や持ち物>
参拝時の服装は自由ですが、生き物を連想させる毛皮のコートや動物柄の服は避けるべきです。
露出が多い服やサンダルも不適切です。
持ち物には以下が含まれます。
・御朱印帳
・お賽銭
・ハンカチ
※タイなどの仏教国では、お寺に入る際の服装規制が厳格であることが知られています。
<参拝の手順とマナー>
お寺での参拝手順の詳細な解説
・手水舎での作法
山門に入る前に一礼し、柄杓を右手に持ち、左手に水をかけます。
その後、水を一杯汲んで、右手、口、左手、柄杓の柄の順に清めていきます。
・本堂での作法
本堂にてお賽銭をします。この方法については後で詳述します。
・山門での出口時の作法
お寺を後にする際も、山門の前で一礼するのがマナーです。
<お賽銭の正しいマナー>
お賽銭は投げ入れず、静かに入れます。合掌した後に一礼し、お願い事を行い、再度一礼します。お焼香の回数は宗派によって異なるため、不明な場合は1回が基本です。
お寺でのお願い事の適切な表現と態度
お寺でお願い事をする際は、礼儀正しい言葉選びと謙虚な姿勢が求められます。他力本願の態度を避け、自身の努力と仏様への感謝を示すことが重要です。
お願い事の理想的な表現方法
お願い事をする際は、
「○○してください」
と直接お願いするよりも、
「○○が達成できるようお力添えください」
「○○が実現できるよう努力しますので、ご支援をお願いします」
と表現することが望ましいです。
また、お寺でお願いをする前には、自分の氏名と住所を述べることが良いでしょう。
これは仏様に対して、誰がどのような願いを持っているのかを明確にするためです。
お願い事の実践的な例
これまでの説明を基に、以下のような方法でお願い事を試してみてください。
・「○○市に住む△△です。□□が叶うよう、ご導きをお願いします。」
お寺でのお願い事では、初めに自身の名前と住所を述べてから、仏様に対して尊敬と感謝の心を持ちながらお願いを行うことが重要です。
お寺でのお願い事に関するまとめ
お寺でお願い事を行う際は、マナーやタブーに留意し、心穏やかな参拝を目指しましょう。
また、宗派や寺院による違いがあるため、訪れるお寺に応じた適切なエチケットを学ぶことも重要です。
この記事を活用して、特に若い世代の方々がお寺でのお願い事や参拝の際に、心の態度やマナーを大事にし、精神的な満足感を得られる経験をしていただければと思います。